幼児虐待防止

幼児虐待の概要について

定評の高いライターさんである紫黒檀氏にお願いして
最新の「児童虐待」「幼児虐待」について、まとめてもらいました。
こども家庭庁が令和6年9月24日に公表したデータによると、残念ながら年々、
右肩上がりに増加し続けています。

児童虐待が増えている原因として子育て世帯の貧困と孤立化が挙げられています。

公的な児童虐待防止対策としては、
こども家庭庁が中心になって取り組んでいる施策、
親子のための相談LINE、要保護児童対策地域協議会(こどもを守る地域ネットワーク)が
挙げられています。

「児童虐待」「幼児虐待」の防止のためには、子育て世帯への支援が重要とのことです。

以下、紫黒檀氏のレポートを掲載します。

児童虐待(子ども虐待)の実態と防止策

児童虐待(子ども虐待)とは、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトのことです。
令和4年度に発生した児童虐待件数は214,843 件となっており、
統計を取り始めて以来年々増加しています。

児童虐待の増加には、子育て世帯の貧困や孤立化が背景にあると考えられるため、
こうした世帯への支援が重要です。

児童虐待とは

児童虐待(子ども虐待)とは、保護者がその監護する児童に虐待を行うものです。

児童というと、一般用語では、小学生を指しますが、児童虐待の防止等に関する法律では、
18歳未満の者を児童と定義しており、中学生や高校生も含みます。

もちろん、幼稚園までの子どもである幼児、生後0日から満1歳未満までの乳児への
虐待も含みます。

 

児童虐待の種類

 

児童虐待(子ども虐待)には、主に次の4つの種類があります。

身体的虐待
性的虐待
心理的虐待
グレクト

それぞれの虐待の内容を確認しましょう。

身体的虐待
児童の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えることです。
具体的には、殴る、蹴る、叩く、投げ落とすといった行為のほか、激しく揺さぶる、
やけどさせる、溺れさせるといった行為も含みます。

性的虐待
児童にわいせつな行為をすること又は児童にわいせつな行為をさせることです。
具体的には、児童に性的な行為をしたり、性的な行為をするように強要することです。
また、児童ポルノの被写体にしたり、大人の性的行為を見せることも含みます。

心理的虐待
児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応などにより、
児童に著しい心理的外傷を与える言動を行うことです。
具体的には、児童に暴言を吐く、児童を徹底的に拒絶する、
兄弟姉妹の間で差別的な扱いをすることです。
また、児童が見ている前で児童の家族に暴力を振るう
(家族へのDVの現場を児童に見せつける)ことも心理的虐待に当たります。
例えば、子どもが見ている前で父親が母親にDVを行うことは、
配偶者に対するDVに該当すると共に子どもへの心理的虐待にも該当することになります。

ネグレクト
児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置など保護者としての
監護を著しく怠ることです。
具体的には、食事を与えない、ひどく不潔な状態で放置する、
病気になっても無視し病院に連れて行かないといった行為です。
また、家に閉じ込めたり、自動車に放置することもネグレクトに当たります。
その他、子どもに関心を持たずに、育児を放棄する行為はネグレクトに該当している
可能性があります。

 

児童虐待件数

こども家庭庁が令和6年9月24日に公表したデータによると、令和4年度中に、
全国232か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は 214,843 件となっています。

前年度比で3.5%の増加となっており、年々、右肩上がりに増加し続けています。

令和4年度の虐待の種類別件数は次のとおりです。

身体的虐待
49,464件
23.0%

性的虐待
2,393件
1.1%

心理的虐待
128,114件
59.6%

ネグレクト
34,872件
16.2%

心理的虐待が最も多く、身体的虐待が次いでいることが分かります。

また、児童相談所への虐待相談は様々な経路で寄せられていますが、
上位4つの経路は次のとおりです。

警察等
112,311件
52.3%

近隣・知人
22,188件
10.3%

家族・親戚
17,840件
8.3%

学校
14,828件
6.9%

警察から情報が寄せられるケースが多いことが分かります。
警察へ暴行事件などが通報されたのを機に、児童虐待が発覚するケースが多いと考えられます。

また、児童本人からの相談は2,716件(1.3%)となっています。
児童が自分で虐待に気づいて、児童相談所へ助けを求める件数はそう多くないことが伺えます。
やはり、近隣・知人、家族・親戚または、学校といった周りの大人が児童虐待に気づいて、
通報することが大切と言えるでしょう。

 

児童虐待が増えている原因は?

児童虐待が増えている原因として子育て世帯の貧困と孤立化が挙げられます。
親が経済的に追い詰められていて、子育てのための資金がないと、
親のイライラした感情が身近な子どもに向けられがちです。

また、幼少期の子どもは手がかかりますが、ワンオペで育児をしていて、
周りからのサポートが受けられない状態だと、孤立しがちです。

孤立してしまうと、やはり、イライラした感情の矛先が子どもに向きがちで、
児童虐待につながりやすいと言われています。

こうした事態を防ぐためには、貧困と孤立の状態にある子育て世帯をサポートする仕組みが
重要と言えます。

 

児童虐待防止対策

公的な児童虐待防止対策としては、こども家庭庁が中心になって取り組んでいる
施策が挙げられます。

189(いちはやく)
児童相談所虐待対応ダイヤルです。
「児童虐待が行われているのかも」と気になった場合に、通報できる専用ダイヤルです。
通話は無料で、匿名での通報も可能です。

地域の児童相談所が対応しており、通話内容や相談した人の秘密は守られます。

統計データを見ても、虐待を受けている児童本人が児童相談所に相談するケースは少なく、
近隣・知人からの通報が重要な役割を果たしていると考えられます。

そのため、虐待を疑わせる事案があったらすぐに189(いちはやく)を利用して
通報することが大切と言えます。

親子のための相談LINE
子育てや親子関係に悩んでいる場合に親や子どもが相談することができます。
匿名で利用でき、相談内容の秘密も守られます。

児童虐待は、子育て世帯の貧困と孤立化が原因で起きている面があります。
そのため、悩みごとがあるときは1人で抱え込まず、親子のための相談LINEを利用する
などして相談することが大切です。

こども家庭センター
市区町村には、妊産婦、子育て世帯、子どもからの相談に応じるために、
こども家庭センターの設置が努力義務として課せられています。

こども家庭庁の調査では、令和6年5月1日時点では、全国の市区町村1,741自治体のうち、
876 自治体(50.3%)でこども家庭センターが設置済みとなっています。

こども家庭センターがある自治体では、子育てで悩んでいる方や親との関係に悩んでいる子どもに、相談窓口があることを周知することが大切と言えます。

要保護児童対策地域協議会(こどもを守る地域ネットワーク)
虐待を受けている子どもや支援が必要な家庭の早期発見のために、関係機関で情報を共有する
協議会のことです。

市区町村や児童相談所だけでなく、学校、警察、医療機関、保健機関、保育所、民生・
児童委員

まとめ

児童虐待防止のためには、子育て世帯への支援が重要です。

2024年に児童福祉法が改正されたことを受けて、
こども家庭センターの設置が努力義務化されたり、家庭支援事業が強化されました。

子ども家庭福祉の問題に対応するための、「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー」という
認定資格も創設されました。

ただ、こうした支援機関や支援者がいることを知らない人も多いと思われるため、
周知していくことが大切です。(紫黒檀)

、その他、民間団体とも連携しています。

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